MOOK HOUSEのモデルハウス第1号が鹿児島市内に完成したのは、2014年1月。
ブランドの立ち上げから企画に携わっている住宅本部 設計・商品企画 課長の郡山憲司さんと鹿児島第1支店 支店長の射手園秀勝さんに、MOOK HOUSEのこれまでの歩みと、これからの家づくりへの思いを聞きました。
ヤマサハウス 鹿児島本店
第一支店 支店長
射手園 秀勝 氏
ヤマサハウス 工務部
施工技術開発課 次長
郡山 憲司 氏
省エネ×自然の心地よさを追求した“欲張り設計”
MOOK HOUSE ができた経緯・きっかけを教えてください。
郡山
ブランドの構想が始まったのは約1年前でした。当時、先進的な取り組みとして目指したのが「LCCM住宅」。住宅を建築する段階から壊すまでのサイクルの中で、総CO2排出量をマイナスにするという考えに基づく住宅のことです。ここで柱となったのが、地元・鹿児島の素材を使うこと、優れた省エネ性能、そして、家を長く持たせることでした。
省エネ性能を上げるなら、高気密・高断熱。家を〝閉じる〟方が良いんです。でも、自然とつながりながら、自然の力を生かして、心地いい住環境が作れないか?と欲張った結果が今のMOOK HOUSEにつながっています。太陽熱を活用する暖房システム「OMソーラー」を取り扱うメーカーさん、環境と共生する「パッシブデザイン」の住まいを多く手掛けてきた建築家・野沢正光先生との出会いで、かたちになっていきました。
射手園
第1号のモデルハウス(桜ヶ丘ビュータウンモデル01)は、OMソーラーの太陽熱活用に関して、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成事業の採択を受け、東京大学と提携した実証実験も行われました。私たちとしてももちろん初めてでしたが、先進的な試みに挑戦し、データとして、OMソーラーの効果を把握することができる貴重な機会でした。
オープンな空間づくりで、ライフスタイルに寄り添う
間取りが自由に変えられる「スケルトンインフィル工法」も特徴のひとつですが、その理由や魅力を教えてください。
郡山
建てた家に長く住んでもらうためには、耐久性だけでなく、ずっと愛着を持ち続けてもらうことが必要です。でも、時とともに家族構成とかライフスタイルも変化します。暮らしにくくなったとき、親から子の世代に引き継ぐときなど、自由に間取りを変えることができれば、未来まで住み継がれる家になると考えています。
射手園
私は設計担当としても多くの物件に携わってきましたが、これほど柱を設けない工法があるなんて!と、初めはかなり驚きましたね。でもこれなら、間取りは相当自由に変えられると納得しました。特に、コンパクトな平家でも、すごくダイナミックな空間ができるのが魅力。そのオープンな間取りを生かして、キッチンからリビング、子ども部屋までワンフロアで、家具で上手にスペースを区切って使っているお宅もありますね。
郡山
実際に完成から5年ほど経ち、吹き抜けだったスペースを子ども部屋に造り替えたお客様がいらっしゃいました。吹き抜けの窓は開閉できないものが多いのですが、あらかじめ開閉できる窓にされていたので、そのまま活かすことができました。建設の際から、将来は部屋として使えることを想定されていたんですよね。これこそ、MOOK HOUSE ならではの醍醐味だと思いました。
家が“長く活きる”まちの未来に貢献したい
MOOK HOUSE として、これからの家づくりで目指すこととは?
射手園
お客様とそのお住まいと、長いお付き合いをさせていただけることに、喜びを感じています。将来のことは分からないものです。でも、どんな変化にも応えられる自由度を備えた家なので、家族の成長や木の住まいならではの経年変化など、時を重ねて変わっていくことを、もっと楽しんでいただけるようなご提案を続けていきたいと思います。
郡山
そうですね。いま、鹿児島では空き家が増えていることも問題になっています。愛着をもって長く住んでいただくことはもちろんですが、住む家族が離れるときも、間取りの自由度が高い家であれば、壊さずに価値をキープし、新しい家族へ住み継ぐことができると思うんです。何十年も先の話かもしれませんが、鹿児島の家々がもっと長く活かされて、空き家を生まないまちづくりに貢献できたら嬉しいですね。